相続により農地などを取得した中で「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいという人が増えています。
将来、そのような土地が相続されず「所有者不明土地」が発生することを防ぐため、相続等によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月27日よりスタート。
制度開始までは数ヶ月となっていますが、2023年1月時点では「制度の開始に向けた準備を進めている」と法務省。
最終的に国に負担金を払うことで国有地となる本制度。「払うなら誰かに売れば」と安易に考えたくもなりますが、売れない土地、ということもあるでしょう。
詳細は随時ホームページ等で公開予定となっていますが、現時点で判明している情報についてまとめてみましょう。
相続土地国庫帰属制度
制度の開始 | 2023年4月27日 |
申請ができる人 | 相続又は相続人に対する遺贈によって土地を取得した人が申請可能 |
申請先 | 帰属させる土地を管轄する法務局・地方法務局を予定 |
審査手数料 | 具体的な金額は、現在検討中 |
負担金 | 国有地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額 |
(2023/01 時点情報)
制度のポイント
- 相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて、承認を申請することができます。
- 法務大臣は、承認の審査をするために必要と判断したときは、その職員に調査をさせることができます。
- 法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認をします。
- 土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた方が、一定の負担金を国に納付した時点で、土地の所有権が国庫に帰属します。
上記は法務省のホームページより。赤字部分がポイントとなる部分ですが、簡単にいえば「相続などで土地を所有した場合、国所有の承認ができる土地であれば承認。国へ負担金を納めることで国所有となる」というもの。
利用の流れ(法務省)
相続土地国庫帰属制度を利用できる人
相続又は相続人に対する遺贈によって土地を取得した人が申請可能ですが、売買などで土地を取得した人や法人(相続等により土地を取得することができない)は、基本的に本制度を利用することはできません。
※相続で複数の所有者がいる場合は全員が共同して申請を行うことで制度の利用が可能。
制度の開始は2023年4月からですが、数十年前に相続した土地についても、本制度の対象となるため、維持管理費などの理由で手放すことを考えている場合は利用が可能となっています。
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