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戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い – 語り部・堀尾幸二さん/市川町

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町
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私たちが今、当たり前のように享受している平和な日々。

しかし、かつての日本には、戦争という暗い影が落ちていました。兵庫県市川町では、その記憶を未来へと語り継ぐ語り部として、堀尾幸二さん(96歳)は、10年にわたって戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えています。

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町

市川町内小学校で戦争体験を語る堀尾幸二さん

14歳で少年飛行兵へ志願、特攻隊として戦争の悲惨さを体験

1929年4月8日に生まれた堀尾さんは、1943年、14歳6ヶ月という若さで志願し、東京陸軍少年飛行兵学校へ進学。

そして1945年、16歳で特攻隊として出撃。そこで体験した戦争の悲惨さは、今も深くその胸に刻まれています。

数少ない戦争経験者として、2015年から市川町内の小学校で子どもたちに戦争の真実を語り続けています。

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町

市川町内小学校で戦争体験を語る堀尾幸二さん

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太平洋戦争の背景 – 平和への道のり

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町

1941年(昭和16年)、日本は真珠湾を奇襲し、アジア・太平洋地域へと戦線を拡大。「大東亜戦争」と名付けられたこの戦争は、日本の資源確保のための動きが、アメリカやイギリスとの対立を深めたことが大きな要因でした。

日独伊三国同盟を結んでいた日本は、フランス領インドシナ北部への進駐をきっかけに、国際的な緊張を高めます。アメリカによる経済制裁を受け、軍事作戦の継続が困難になった日本は、開戦という道を選んでしまいます。

開戦後、日本軍はマレー半島上陸や真珠湾攻撃で一時的に戦果を上げ、石油資源を求めてオランダ領東インドを占領。

「自存自衛」と「大東亜共栄圏」を掲げましたが、短期決戦という思惑は外れ、戦局は次第に悪化。

広大な戦線を維持できなくなった日本は、徐々に劣勢へと追い込まれていきました。

堀尾幸二さんが語る、戦場の現実

終戦が近づくにつれて、燃料は枯渇し、練習機に乗る時間さえ十分にありませんでした。「満足に練習もできないまま卒業して、戦線へ行ったんです」と堀尾さんは当時を振り返ります。

「アメリカ軍の航空母艦から発進した戦闘機が、私たちの飛行場や飛行兵に対して繰り返し攻撃をかけてくるんです。

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町

夜間の攻撃なんかは、敵機の銃身が赤く染まっているのが見えるほどでした。逃げ遅れた私の同期が、すぐそこで死んでいくのを目撃しました。死が、本当にすぐそこにあったんです。」

1944年7月にサイパン島が陥落すると、そこを拠点としたB-29による日本本土への空襲が始まり、堀尾さんのいた飛行学校も激しい攻撃にさらされたと言います。

そして1945年、堀尾さんは特攻隊としての任務につきます。

「オンボロの飛行機に爆弾を積むんですよね。その爆弾は普通は機体から落ちるんですが、私たちにはその爆弾が落ちないように仕掛けられている飛行機に乗るんです。」

終戦の約二ヶ月前、日本の都市は破壊し尽くされていました。

爆弾を抱えて出撃する二日前、任についていた岡山で大空襲が発生。堀尾さんは救援に向かいます。

「腕のない人、脚がちぎれている人、死体が至る所にあり、家は焼け落ちてまだ煙が出ている。両親を亡くした子どもだけが、『お父さん、お母さん』と泣き叫んでいるんです。死体を引きずって一ヶ所に積み上げ、焼く。どんなにむごいか。それが戦争なんですよ。ゲームの戦争ごっこなんかじゃない。悲惨なんです。」

1945年8月15日、終戦。

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町

「こうして話をしていると、今でも胸が詰まってくるんです」と堀尾さんは語ります。

過去を振り返り、未来へつなぐ平和への想い。

戦争の悲惨さと平和の尊さを、決して風化させてはならない。堀尾さんは、その強い思いを未来世代に託します。

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町

市川町内各地で行われている忠魂碑参拝

戦争の記憶、未来へつなぐ平和の想い - 語り部・堀尾幸二さん/市川町

遺族会による慰霊祭(於:市川町文化センター)

「絶対に戦争はしてはいけない。今の幸せな世の中をいつまでも続けることができるかどうかは、あなたたちの心次第なのです。」

戦争の記憶を未来へとつなぎ、平和な社会を築いていくことの大切さを、堀尾さんの言葉は私たちに強く訴えかけます。

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