北近畿広域観光連盟は、公益社団法人日本観光振興協会、鉱石の道推進協議会と協力し、兵庫県養父市・朝来市にまたがる日本遺産「鉱石の道」のストーリーをテーマ別に体感できる新たなモデルルートを策定しました。
テーマは、「『錫』が鉱物から鉱石・金属となるまで」や「フランス人技師たちの面影」など、何度も「鉱石の道」を堪能していただけるよう6つ設定。マイカー・レンタカーだけでなく、公共交通機関やレンタサイクルを利用するルートも用意されています。「鉱石の道」へタビマエにじっくり見ていただきたい【特設サイト】と、タビナカでご活用いただきたい【アプリ】での情報公開も開始されます。
平成29年4月に「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道 ~資源大国日本の記憶をたどる73kmの轍~」が日本遺産に認定されました。このうち、養父市・朝来市にまたがる「鉱石の道」においては、構成文化財が広域に点在することや周遊のための二次交通不足、「鉱石の道」のストーリーを訴求できていないといった課題がありました。そこで日本観光振興協会は当該地域で「日本遺産体験周遊ツーリズム事業※」に取り組み、令和5年12月より有識者検討会議を立ち上げました。
日本遺産のストーリーに沿って効率よく文化財を周遊できる仕組みを構築し、域内周遊の促進と地域活性化を目的に、当該地域の行政や観光協会、交通事業者等と2か年にわたり協議が行われました。
※本事業は、日本財団の助成による「観光地域づくり支援基金事業」の一部として実施されています。
実施概要
1.『鉱石の道』日本遺産体験周遊ツーリズムWEBサイトの開設
北近畿広域観光連盟ポータルサイト「まるごと北近畿」内に、特設サイトとして『鉱石の道』に関する日本遺産の構成文化財や新たに作成したモデルルート等の情報を掲載。『鉱石の道』を辿る旅へのお出かけ前に、ぜひご覧いただきたいサイトとなっています。
従来の「鉱石の道」を案内するサイトでは、養父市・朝来市に点在する構成文化財を結ぶストーリーの発信が少なかったのですが、本サイトでは、異なった行政区にある「鉱石の道」に関する構成文化財が、「点」ではなく「面」となるようなストーリーを訴求できるよう、「鉱石の道推進協議会」の協力を得て作成されています。
掲載内容
(1) 鉱石の道とは
播但地域を貫く全長73kmの道のうち、生野から分水嶺を越え北へ24kmとつづく『鉱石の道』。兵庫県朝来市・養父市に跨る日本初の官営鉱山となった生野鉱山、神子畑鉱山(朝来市)、明延鉱山、中瀬鉱山(養父市)の兵庫県但馬南部地域の位置関係と、「鉱物~鉱石~金属」となるまでの鉱山都市の果たしてきた役割や暮らしを「周遊ツーリズムマップ」とともに案内します。
(2)モデルルート
日本遺産の構成文化財である各鉱山の歴史や文化、そこで暮らした人々の暮らしからなるストーリーを体感しながら周遊できるモデルルートを掲載。多角的に『鉱石の道』を学び、楽しんでいただけるよう、6つのテーマを設定しています。
①まるごと体験「鉱石の道」
~『錫』が鉱物から鉱石・金属となるまでのストーリーを辿る~<2日間コース>
鉱石の道のストーリーを最も体感できるルートです。明延鉱山で採掘された「鉱石」は、明神電車(一円電車)で神子畑選鉱場へと運ばれ、錫・銅・亜鉛などの鉱石に分離。錫は生野、銅は香川県直島、亜鉛は秋田県秋田市の各製錬所に運ばれ、金属に製錬されました。明延鉱山から神子畑選鉱場跡、そして生野鉱山町と、鉱物が鉱石・金属になるまでのストーリーを辿ります。
②幕府直轄 金・銀鉱山町を歩く
〜江戸初期の「石臼」が点在する町並み『中瀬』、官営鉱山時代の「郷宿」 「官舎」の面影『生野』〜
江戸幕府の直轄鉱山であった養父市の中瀬金山と朝来市の生野銀山の町並みを巡るルートです。近畿最大の金山町として栄えた中瀬には、江戸時代の金山役所跡や金の鉱石を砕くのに使われた石臼が町の中に残っています。日本有数の銀山があった生野鉱山町では、江戸時代の郷宿や赤瓦などの古い町並みの他、明治維新後に建てられた洋風建築も見られ、鉱山町特有の文化や人々の暮らしを垣間見ることができます。
③鉱石運搬を支えた「鉄道軌跡」を訪ねる
〜明延−神子畑を結んだ「明神電車」、インクライン、鉱石の道の運搬を担った軌跡を辿る〜
鉱石運搬を支えた「鉄道軌跡」を訪ねるルートです。明延鉱山で採掘された鉱石は、鉱山専用の鉄道である明神電車で、約6km先の神子畑選鉱場へと運ばれました。神子畑で選鉱された鉱物等を運ぶためのトロッコ軌道跡も残っています。また、生野鉱山町には生野鉱山から生野駅までを結んだトロッコ軌道跡を見ることができます。
④エコ旅!フランス人技師の面影巡り
〜電動付き自転車で巡るフランス人技師ゆかりの地、締めは「コァニェ・ティー」で一服〜
明治維新の近代化政策によりやってきたフランス人技師ゆかりの鉱山遺産を巡るルートです。生野鉱山が日本初の官営鉱山となると、24人のフランス人技師たちが生野鉱山に携わり、施設の近代化が進められました。ルートの最後には、生野鉱山の発展に貢献したフランス人鉱山師・ジャン・フランソア・コァニェ氏に因んで名付けられた「コァニェ・ティー(生野紅茶)」で旅の疲れを癒します。
⑤日本遺産で避暑を体験
〜年中11〜13度の二つの坑道を体験、口銀谷の鉱山町の水の仕組みも垣間見る〜
「明延鉱山」と「生野鉱山」エリアを巡るルートです。坑道体験では鉱山の採掘方法を間近で見学できる他、坑道内は年間平均温度が11〜13度で避暑スポットとしても知られています。また、生野鉱山町である口銀谷地区では、鉱山という特殊な産業を支えるための水利用や排水処理システム、鉱害を克服しながら鉱山と暮らしとの折り合いをつけてきた人々の知恵などが見られます。閉山した現在でも、暮らしを支える水利用のしくみとして活用され、大切な鉱山遺産として引き継がれています。
⑥「鉱石」と共に「人の暮らし」の跡を辿る
~城崎温泉から京阪神への道中に日本遺産をプラスワン~
山陰の名湯「城崎温泉」を起点に、「鉱石の道」のストーリーを辿るルートです。明延鉱山で採掘された「錫鉱石」は、1929年(昭和4)に完成した鉱山専用の鉄道である明神電車で、約6km先の神子畑選鉱場へと運ばれました。また、1885年(明治18)に完成した神子畑から生野へ「銀鉱石」を運んだ馬車の鉄道跡も一部残されていて、現存する日本最古の全鋳鉄橋である「神子畑鋳鉄橋」や、めがね橋の愛称で呼ばれている「羽渕鋳鉄橋」もこの時代に建設されました。なお、「湯村温泉」や京丹後市の「久美浜・夕日ヶ浦エリア」からも同程度の所要時間でお越しいただけます。
(3)おすすめスポット
各鉱山のみどころを簡単に検索できます。「鉱石の道関連スポット」「観光スポット」「グルメ」「お土産」「宿泊」「明延鉱山」「神子畑鉱山」「生野鉱山」「中瀬鉱山」の9つのテーマに分けて閲覧することが可能です。
(4)最新情報
北近畿広域観光連盟が、関連団体との連携により「周遊に役立つ情報」、「イベント情報」が定期的に更新されます。
(5)アクセス
「鉱石の道」エリアへのアクセスについて、「鉄道」「マイカー」での移動に役立つマップを掲載。周辺の主要駅から「鉱石の道」内各ポイントへのルート検索機能も搭載されています。
2.アプリ「tabiwa by WESTER」 へのモデルルート及びクーポン掲載
JR西日本が運営する「tabiwa」アプリに、『鉱石の道』のモデルルートを掲載。モデルルート内の構成文化財や、観光案内所、宿泊施設、グルメ、道の駅等を紹介し、紹介先の施設で受けられる特典クーポンも入手できるようになっています。『鉱石の道』の旅へお出かけの際は、ぜひご活用ください。
アプリ利用者特典(一例)
観光 | 明延鉱山探検坑道 | 探検坑道1200円⇒1000円 |
観光 | 明延ボランティアガイド | 鉱石ミニボトルのプレゼント |
観光 | 史跡生野銀山 | 入場料金1200円⇒1000円 |
観光 | 生野銀山鉱山職員社宅 | ガイドによる施設案内の提供 |
宿泊 | フェアフィールドバイマリオット | 宿泊者には「棚田米(1合)」プレゼント |
食事・土産 | 但馬長寿の郷レストラン「ごはんや」 | 1提示につき1ドリンクサービス |
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「鉱石から金属へ、近代化鉱山の原点の地で新たな「旅の提案」。「鉱石の道」でストーリーを体験する新たなモデルルート」についての追加情報、感想などをコメントまでお寄せください。