国庫帰属までのハードル
どんな土地が承認されないのか?
制度の利用にあたっては該当の土地が「通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらない場合」である必要があります。
どんな土地が承認されない?
申請をすることができないケース(却下事由)
- 建物がある土地
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地
- 土壌汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
承認を受けることができないケース(不承認事由)
- 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
- 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
- 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
- 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
- その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
法務省での表記は上記。こうしてみると自身で管理するのが大変な土地は、国でも引き取ってもらえなさそうな印象なのは気のせい?
負担金はいくら?
「制度を利用することができる人」で「承認が認められる土地」である場合、法務大臣により国庫への帰属が承認。
その場合は、宅地、畑、森林といった種目によって異なる管理に要する10年分の標準的な費用の額の負担金を納付することで国保有になります。
①宅地 | 面積にかかわらず、20万円 |
ただし、都市計画法の市街化区域または用途地域が指定されている地域内の宅地については面積に応じ算定(算定式①) | |
②田、畑 | 面積にかかわらず、20万円 |
ただし、以下の田、畑については面積に応じ算定(算定式②) ア 都市計画法の市街化区域または用途地域が指定されている地域内の農地 イ 農業振興地域の整備の冠する法律の農用地区域内の農地 ウ 土地改良事業等(土地改良事業またはこれに準ずる事業であって、農地法施行規則第四十条第一号および第二号イ若しくはロに規定する事業)の施行区域内の農地 | |
③森林 | 面積に応じ算定(算定式③) |
④そのた ※雑種地、原野等 | 面積にかかわらず、20万円 |
法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
なお特例により隣接する2筆以上(登記簿上、別の土地)の土地については同じ種目(森林、宅地)であれば一筆分として申請が可能。
例)宅地2筆= 負担金 20万円×2 → 負担金 20万円 × 1
法務省:相続土地国庫帰属制度の負担金
こうしてみると、制度の利用にあたっては「どんな土地でも」というわけにはいきませんが、「売れない土地」で「手放すことを検討している」という場合は、制度の利用を検討してみるのもいいかもしれません。
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