郵便料金値上げへ。封書、ハガキ30%以上。定型郵便上限価格改正は2024年秋ごろ

総務省は18日に行われた情報通信行政・郵政行政審議会 郵政行政分科会において定型郵便物の上限料金につい110円とする改正案を提出、有識者や専門家に意見を求めました。

・定型郵便物の封書の料金が110円に
・ハガキは85円に
・今後、関係各所での会議のあと省令の改正が行なわれれば2024年秋ごろから
・日本郵便株式会社の初の赤字。

改正案は2022年度、営業損益がマイナス211億円と民営化以降初めての赤字となった日本郵便株式会社からの郵便料金の早期引き上げ要望を受けたもので、郵便事業の安定的な提供を継続するためには、早期の郵便料金の見直しを行う必要がある、と総務省。

また定形郵便物の料金の上限額の見直しに伴い、日本郵便と一般信書便事業者の対等な競争条件を確保するため、一般信書便役務のうち定形郵便物と 同じ大きさ及び形状の信書便物の料金上限を定める民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部改正も併せて実施予定となっています。

ねこさん
一般信書便事業者は令和5年11月29日現在、ゼロ。一般信書便事業の参入にあたっては信書便差出箱(いわゆるポスト)を全国の市町村(またはは特別区)の人口に応じた数を設置する必要があるため、参入の壁は高め。

郵便料金改定の内容

現状 2024年10月~(予定)
第一種(定型封書)
25g以内
84円 110円
第一種(定型封書)
50g以内
94円
第一種(※通常ハガキ) 63円 85円

なお、第三種郵便物(定期刊行物)・第四種郵便物(通信教育等など)及び2023年10月に料金改定が行われた書留等は据え置き。

料金改定については12月18日時点での想定で、順調にいけば2024年秋からの施行が予定されています。

定型郵便物料金改正の背景

  • 令和4年度の郵便事業の営業損益は「▲211 億円」となり、民営化以降初めて赤字
  • 郵便物数は、平成13 年度をピークに毎年減少
  • 郵便物数は今後も大きな減少が見込まれる

郵便物数の推移 出典:総務省「情報通信行政・郵政行政審議会 郵政行政分科会(第88回)配布資料」より

改正案は現在、第一種郵便物の定形の郵便封書について25グラム以下は84円、50グラム以下については94円となっているところ、重量区分をなくし一律110円に(※25グラム以下 +31.0%、50グラム以下 +17.0%)とするもので、消費税による料金変更を除けば1994年(平成6年)から約30年ぶりの料金値上げ。

主な郵便料金の推移

封書
(25gまで)
ハガキ 信書 備考
1981/01/20~ 60 円 30 円
1981/04/01~ 40 円
1989/04/01~ 62 円 41 円 消費税3%導入
1994/01/24~ 80 円 50 円
1997/04/01~
2003/04/01~ 80 円 民間事業者による信書の送達に関する法律施行
2014/04/01~ 82 円 52 円 82 円 消費税8%に引上げ
2017/06/01~ 62 円 年賀葉書の値上げは 平成 30 年2月
2019/10/01~ 84 円 63 円 84 円 消費税 10%に引上げ

また第二種郵便物のハガキについても63円(通常はがき)から85円(+34.9%)、その他(定形外、特殊取扱等)についてはプラス約30%の値上げ率を予定、レターパックや速達等の一部郵便物については利用者利便等の観点から低い値上げ率(※定形外、特殊取扱等と比較して)とすることも盛り込まれました。

料金の上限の改正

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郵便法 第六十七条第二項第三号の一部を改正

改正後 第二十三条 法第六十七条第二項第三号の総務省令で定める額は、百十円とする。
改正前 第二十三条 法第六十七条第二項第三号の総務省令で定める額は、八十四円とする

民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則の一部改正

改正後 第二十三条 法第十六条第二項第二号の総務省令で定める額は、百十円とする。
改正前 第二十三条 法第十六条第二項第二号の総務省令で定める額は、八十四円とする。

料金改正までの流れ

今回は情報通信行政・ 郵政行政審議会への省令案が諮問(案を提出し専門家や識者の意見を求める)が行なわれました。(下図:左端)

同審議会からの答申後、消費者委員会、物価問題に関する関係閣僚の会議を経た上で総務省令の公布・施行行なわれます。

出典:総務省「情報通信行政・郵政行政審議会 郵政行政分科会(第88回)配布資料」より