2025年は、日本民俗学の父として知られる柳田國男の生誕150周年という節目の年。
彼の故郷・兵庫県福崎町では、この記念すべき年を祝うべく、第46回山桃忌が8月2日・3日の二日間にわたり、エルデホールを会場に盛大に開催されました。
町内外から多くの来場者が訪れ、柳田國男の功績をたたえ、その精神を未来へと受け継ぐ時間となりました。
柳田國男 生誕150周年 「第46回山桃忌」
「福崎町の宝を未来へ」――尾﨑町長のメッセージ
開会のあいさつに立った尾﨑町長は、「福崎町には誇るべきものがたくさんあります。その中でも、柳田國男先生を含む松岡家の五兄弟は、私たちの大切な宝物です」と語りました。
さらに、柳田が生涯をかけて人々の暮らしや文化を記録し続けた姿勢にふれ、「その功績を、今後のまちづくりに活かしていきたい」と力強く宣言。彼が歩んだ道を未来へとつなぐ決意をあらためて示しました。
基調講演――柳田國男に息づく「故郷」へのまなざし
続いて行われたのは、柳田國男・松岡家記念館の顧問を務める石井正己氏による基調講演「柳田國男が語る故郷・福崎」。
講演では、幼少期に故郷を離れた柳田が、民俗学という新たな学問を築く中で、常に心の底に「故郷」を抱いていたことが語られました。
あわせて、兄弟たちとともに「松岡兄弟」として知られる彼の背景や、その思想が現代に問いかける意義にも触れられ、満席の会場ではメモを取る人や、スマホで自動文字起こしを行う人など熱心な姿があちこちで見られました。
池澤夏樹氏が語る『海上の道』――地理と文化の詩情
記念講演には作家・詩人の池澤夏樹氏が登壇。「『海上の道』を読みなおす──地理的なロマンティシズム」と題し、柳田國男の著作を通じて感じた思索を披露しました。
東日本大震災の被災地での体験をふまえ、柳田の思想をどう受け止めたかを語った池澤氏は、特に東北地方の風土と文化が心に深く響いたと述べ、『海上の道』を手がかりに、日本列島に根づく歴史と文化のロマンを紐解いていきました。
その語り口からは、柳田國男の著作が今なお多くの人の心を動かし、思索を促す存在であることが伝わってきました。
先人のまなざしを、いま・未来へ
今回の山桃忌は、柳田國男の偉業を顕彰するだけでなく、彼が築いた思想や価値観が、現代を生きる私たちにどんな意味を持ちうるのかを見つめ直す機会となりました。
福崎町はこれからも、この偉大な先人のまなざしを胸に、まちの宝を守り、次の時代へと丁寧に受け継いでいくことでしょう。




































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