加西市では、水源として活用できる河川などが乏しく、水道水は兵庫県と近隣市町から購入してきたという歴史がありますが、市と県が共同で建設していた「栗田ポンプ所(兵庫県加西市北条町栗田)」が完成し、4月1日より稼動しました。
これにより市内のほぼ全域に県営水道による配水が可能となり、令和7年度末(令和8年3月末)で市川町からの受水が終了に。
※トップ画像:岡部川 市川水系
栗田ポンプ所。奥が受水槽で手前がポンプ庫
市川町から加西市「友情の水」
分水の歴史
水道水を引く前は、井戸を掘ったり、農業用水を貯めるため池、水を運ぶための疏水の整備など、水源がない中で工夫して、生活や農作業に水を取り入れてきた加西市ですが、昭和42年から43年にかけての異常渇水により、水源が乏しい加西市は深刻な水不足に。
市は、国や県、隣接自治体に飲料水の救援と、将来の水資源確保を要請、良い回答が得られない状況の中、市川町は加西市の熱意と隣人愛にこたえ、町内全域給水に先立ち、加西市へ分水することを英断し、ついに昭和43年、市川水系から貴重な水道用水の送水が始まりました。
加西市議会だより No.152
昭和43年4月、市川町と加西市は分水契約を結び、同年9月には分水水道管敷設工事も完成しました。長年の悩みであった水不足から解放されたこの水はこの「友情の水」と呼ばれ、長く加西市内中心部および北部エリアに配水されてきました。
市川町水道施設の老朽化
50年の時を経て、市川水系の施設も老朽化が進みました。
建替えが必要でしたが、財政的にも困難であったため、両市町協議の結果、加西市は兵庫県の協力のもと水道施設を増設し、県営水道により市内全域へ送水すること決定。
栗田ポンプ所の完成
県営水道の送水施設である栗田ポンプ所が県と加西市共同で完成し、市内のほぼ全域に県営水道による配水が可能となる環境が整ったことにより、令和4年度より1日あたりの責任水量を減量しながら令和7年度末で市川町からの受水を終了することになりました。
友情は永遠
市川町は供給継続を加西市に要望していましたが、加西市側は将来的な水道事業戦略の観点から、市内にある複数施設の廃止と、県営水道のみで市内全域へ送水することを市の方針として採択。
選択友情の水は役割を遂げますが、市川町との友好関係を守り続けていく、と加西市。
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