兵庫県は2025年7月17日、水稲に深刻な影響を与える「斑点米カメムシ類」の発生状況を受けて、「令和7年度 病害虫発生予察注意報 第1号」を発表しました。
この注意報は、兵庫県内の水田で例年よりもカメムシ類の発生が著しく多いことから、水稲農家に早めの防除対策を呼びかけるものです。
発生している害虫と影響について
対象作物: 水稲(お米のもととなる稲)
主な害虫
- イネカメムシ
- ミナミアオカメムシ
- クモヘリカメムシ
- カスミカメムシ類
- 発生地域: 県内全域
- 発生程度: 多い
- 発生時期: 7月中旬〜9月下旬
これらの斑点米カメムシ類は、水稲の穂を吸汁して品質を落とし、収穫後のお米に黒い斑点がつく「斑点米」の原因となります。
とくにイネカメムシは出穂直後から穂を加害し、実が育たなくなることもあるため、収量への影響も大きいとされています。
調査結果から見えた広がるリスク
7月上旬に行われた県内23地点の巡回調査では、56.5%の地点でカメムシ類の発生が確認されました(前年同期は22.7%)。また、朝来市・加西市・南あわじ市に設置された予察灯でも、例年以上に多数の誘殺が確認され、県内広域にわたって発生が拡大している状況です。
加えて、すでに6月下旬から出穂の有無にかかわらず水田でイネカメムシが確認されており、早めの対応が求められます。
今後の見通しと注意点
気象予報によれば、今後1か月の気温は高めに推移する見込み。これはカメムシ類にとって好都合な条件であり、出穂期を迎える水稲にとってリスクが高まると見られています。
斑点米カメムシ類は、とくに出穂期の稲穂に集まりやすく、周囲の田んぼの出穂タイミングがズレている場合、加害が集中する傾向にあります。そのため、地域全体での情報共有と連携した防除が重要です。
防除のポイントと農家へのお願い
農家の方には、以下のような防除対策を徹底するよう呼びかけています。
雑草管理 | 畦畔や休耕田のイネ科雑草はカメムシの繁殖源になるため、出穂の2週間以上前までに除草作業を行ってください。 水田内のヒエなども同様に、早めの除去が効果的です。 |
薬剤による防除 | 穂揃い期〜乳熟期を中心に薬剤を散布しましょう。 発生が続く場合は7~10日間隔で1~2回の追加防除が有効です。 粒剤は効果が出るまでに日数がかかるため、早めの散布が推奨されます。 イネカメムシの防除には、出穂期と7~10日後の2回防除が特に効果的です。 |
【その他の注意点】
ミナミアオカメムシは水稲以外にもダイズや野菜にも被害を及ぼすため、周辺作物の管理も大切です。
防除に使用する薬剤は、農作物病害虫・雑草防除指針を参考に、農薬使用基準を厳守して選定してください。
まとめ
現在、兵庫県では水稲への病害虫リスクが高まっている時期にあります。農家の皆さまには、発生状況の観察と適切なタイミングでの防除が強く勧められています。
特に、出穂期を迎える今こそ、地域内の情報を共有しながら、被害の拡大を防ぐための行動が求められています。
【お問い合わせ】
兵庫県農林水産部 農業改良課 環境創造型農業推進班
TEL:078-362-9210
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