兵庫県三田市在住の紫霞(しか)さんが制作した独創的な妖怪造形作品7作品が福崎町に寄贈され、その功績を称えて感謝状が贈られました。
福崎町の「妖怪ベンチ」や「河童のガジロウ」に魅せられ、何度も町へ足を運んでいたという紫霞さん。
京都芸術大学で日本画を専攻していた彼女が、なぜ「立体」の妖怪作品を作るに至ったのか、そして作品に込めたメッセージとは何だったのでしょうか。
きっかけは卒業制作と立体への挑戦
大学3年生の時、10メートルもの大きな絵を描くという課題に直面した紫霞さん。
その際、自身の関心があった「妖怪」をテーマに選びました。 その後、自由課題で表面を立体的に見せる「半立体」の手法を試したところ、「立体の方が妖怪の魅力がより伝わるのではないか」と確信。
そこから、本格的な立体造形の世界へと足を踏み入れました。
妖怪の善と悪をテーマにした卒業制作「妖怪×博物館」
紫霞さんの作品テーマは「妖怪の善悪は見方を変えれば変わるのか」というユニークなもの。
「妖怪は単に『善』か『悪』かだけで割り切れるものではありません。例えば疫病を予言する妖怪も、不老不死を与えた妖怪も、視点によって別の捉え方ができる」と語ります。
歴史的な諸説や、見る角度によって、妖怪の印象はガラリと変わる。そんな「多面的なものの見方」を、岩絵具や石粉粘土を使って表現しました。
太秦から福崎へ。作品がつないだ不思議な縁
この作品は、京都市の東映太秦映画村で開催された「怪々Yokai祭」でも展示され、国内外からの観光客からも高い関心を集めました。
展示終了後、「もっと多くの人に見てほしい」という周囲の声もあり、紫霞さんは寄贈を決意。
その際、真っ先に思い浮かんだのが、制作に少なからず影響を与えたガジロウのいる「福崎町」でした。
「福崎町は、私の制作のルーツのような場所。ここでお役に立てるなら本当に嬉しい」
そんな熱い想いから、今回の寄贈が実現。12月には町から感謝状が贈呈されました。
福崎町立図書館で展示スタート
紫霞さんの作品は、2026年1月22日から福崎町立図書館での展示が予定されています。
最後に、町民の皆さんへ向けてメッセージをいただきました。 「人も物事も、一つの側面からだけでは分からない面白さがあります。妖怪を通じて、『多面的に見ると世界はもっと楽しくなる』ということに気づいてもらえたら嬉しいです」
想像する人によって、形も色も変わる「未知の存在」である妖怪。 ぜひ、図書館でじっくりと、あなただけの視点でその魅力を探してみてはいかが。










































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