世界遺産姫路城マラソンが2023年2月26日、4年ぶりに開催。
2023年は新型コロナウイルス感染症予防の観点から、密集対策としてコース沿道での応援自粛が求められていますが、沿道ではランナーを応援する例年の取り組みが進行中。
夢前川河川敷にずらりと並ぶ「かかし」群もそのひとつですが、なんだか気になる案山子たち。
「なぜこんなにあるの?」「なぜ、かかし?」現地を訪れてわかった地元愛。
世界遺産姫路城マラソンのマラソンコースは姫路城をスタートした後、映画や大河ドラマの撮影場所に選ばれた「書写山」へ北上し、夢前川に沿って塩田温泉で折り返し。
姫路城マラソンの特徴のひとつとして、ランナーへの「おもてなし」の高さがあげられますが、コース沿道に設けられた拠点応援ポイントでは地元自治会の協力により、各地域の学校、幼稚園等の吹奏楽、和太鼓などによる音楽や踊りでエールを届けます。
姫路城マラソン マップ(クリックで拡大)
折り返し、20km地点手前の夢前町糸田橋あたりからの「かかし群」もそのひとつ。
夢前川対岸にずらりと並ぶ、その様はランナーでなくとも目を留めずには居られません。
夢前川
姫路城マラソンを応援するために、かかしたちが集まりだすのは1月半ばすぎ。
対岸のため、じっくり車を留めて確認ができなかったので日を改めておじゃましてみました。
河川敷に降りると、姫路城マラソンのノボリと共にずらりと並ぶ、かかし達。
目視では一体どれぐらい並んでいるのか検討もつきません。
と、かかし群の中ほどに差し掛かったあたりでなにやら作業をされている方を発見。
お話しを聞いてみると、世界遺産姫路城マラソンを応援するため、地元自治会の役員の方など20名ほどで「かかし」は設置されているのだとか。
それにしても何故かかし?
「もともとは産廃反対運動のためだったんだけど」
故郷の自然を愛する「かかし」達
自然豊かな姫路市北部の夢前町に計画されていた日本最大規模の「安定型産業廃棄物処分場建設」。
処分場の埋め立て面積は甲子園球場の約10倍、埋め立て容積は約500万立方メートルと、西日本最大級の規模の処理場は、廃棄物の処理方法などで夢前川流域全体の汚染が懸念されることから、2012年(平成24年)16自治会中心に「夢前町の自然を愛する会」が発足。
「夢前町の自然を守りたい」
当時の処理場反対の看板(©夢前町の自然を愛する会)
姫路市と兵庫県に対して処理場建設中止を求めて運動が始まりました。
2年後には反対署名は13万票を超え、その後、計画は中止に。
夢前川
その辺りの経緯は「夢前 産廃」などで検索すると容易に確認することができますが、反対運動に一役買ったのが無言の「かかし」達なのだそう。
ランナーを応援するために設置される「かかし」の数は年によっても異なるようですが、その数は約100体前後とのこと。
「(走る)励みになった」という声をランナーから頂くことも多いと言います。
設置するのは地元の役員のボランティア。
各家庭からの古着を集めるのも苦労が多いようですが、設置後は「やってよかった」という声があがります。
声は出さずとも、静かに心でランナーを応援する夢前川河川敷の応援団。
処理場建設が中止になっても夢前の豊かな自然を守る、その気持ちはずっと変わりません。
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「姫路城マラソンランナーを心で応援。無言の応援団、夢前川に集結|姫路市」についての追加情報、感想などをコメントまでお寄せください。