4月24日の629人をピークに徐々に新規陽性者数の減少が見られる兵庫県。
5月24日は新規数が減る月曜日ではありますが4月5日以来の二桁となる発表に留まりました。減少傾向ではあるものの患者用病床は70%を超え、依然ひっ迫した高い数値となっています。
さて、病床についてはメディア等で「病床利用率○%」などの見出しなどでも入院者が多い、というイメージですが軽症者、無症状者向けの宿泊施設の利用率は20%前半に留まっていることはあまり知られていないのでは。
※トップ画像:ホテルの宿泊イメージ
患者用病床はひっ迫
直近1週間※ステージⅣ指標を超えている病床使用率
兵庫県では感染者の急増を踏まえ、4月10日より自宅待機者へのフォローアップ体制を構築し、一定の条件を満たす方の自宅療養を実施しています。
兵庫県の自宅療養者数、宿泊療養者数の推移
2021年3月以降の「宿泊療養者数(2軸)」「自宅療養者数(2軸)」「新規感染者数(1軸)」をグラフにすると以下のようになります。
※「1軸」左目盛り、「2軸」右目盛り
自宅療養の始まった4月10日(前日9日分)より緑の棒グラフが大きくなっていますが宿泊療養者(赤)については減少していることが分かります。
なお2020年4月末時点で約700室だった宿泊療養施設ですが2021年5月24日現在は約2倍の1,475室が確保されていますが宿泊利用施設の過去最大利用数は604(※2021/4/22)に留まっています。
※5月23時点での宿泊施設の利用率は23.3%
緊急事態宣言延長決定後の5月11日、兵庫県井戸知事は「宿泊施設の利用率をあげる」と発表。その後の利用数について気になっていたのですが大きな変化は無いという原状。
なぜ?
兵庫県の宿泊療養率の設定は30%
4月23日に策定された兵庫県「新型コロナウイルス感染症にかかる入院医療体制の強化について」によると概ね30%の利用率を目指しています。
①1日最大新規感染者数 | 648 | 60歳未満 85%、60歳以上 15% |
②新規入院患者数 | 129 | ①×入院率(60歳未満12.4%、60歳以上63.2%) |
③最大の入院患者数 | 1,140 | ②×在院日数(60歳未満 8日、60歳以上 13日) |
(④重症患者数) | 123 | ③×重症率(60歳未満 5%、60歳以上 15%) |
⑤最大確保病床数 | 1,206 | ③/病床利用率 |
(⑥重症病床数) | 129 | ④/病床利用率 |
⑦新規宿泊療養・自宅療養者数 | 519 | ①-② |
⑧最大の宿泊療養・自宅療養者数 | 3,242 | ⑦×療養日数(7日) |
(⑨宿泊療養者) | 973 | ⑧×宿泊率 |
(⑩自宅療養者数) | 2,269 | ⑧-⑨ |
⑪最大確保宿泊療養室数 | 1,497 | ⑨/客室利用率 |
最大の療養者数 | 4,382 |
兵庫県「新型コロナウイルス感染症にかかる入院医療体制の強化について」
兵庫県では宿泊療養施設は30%の利用率が設定されているため、1475に対して約1000室が空き部屋、利用者は約442人でMAXとなる計算(23日現在338名が利用)。
なぜ、宿泊療養施設が利用されていないのか
療養施設数には余裕がある、県としても利用者を増加させたい、でも増えない、ということを考えるとなにかしら理由はあるはず。
調べてみると他府県でも宿泊療養施設の利用率は病床使用率と比較すると低い水準となっています。
大阪府 | 35% |
京都府 | 32% |
東京都 | 39% |
5/19時点
宿泊療養施設の稼働率が上がらない原因はどこに
兵庫県ホームページ上では「患者搬送力の強化、調整事務スタッフの充実、運営体制の強化により、宿泊療養施設の稼働率の更なる向上を図る。」とあることから、逆に言うと
- 患者搬送力が弱い
- 調整事務スタッフの人員不足
などが稼働率(利用率)が上がらない原因として代表的なものと言えます。
また「退所後の部屋の消毒・清掃について、業者との調整や施設の構造等を踏まえてフロアごとに一斉に実施する例も少なくない」等、宿泊療養施設の効率的な運用ができていないことが全国的に指摘されています。
家庭環境などによっても自宅がいい
原則全員入院、「自宅療養者ゼロ」が堅持されていた2020年10月で報告された「兵庫県新型コロナウイルス感染症対策 分析・検証 第1次報告」では、「陽性患者のうち、乳児を抱えた母親、精神疾患患者、徘徊する認知症患者など特別な対応が必要な患者について、入院を断られるケースがあり入院調整が難航した。また、宿泊療養においてもサポート体制の確保が難しく、特別な対応が必要な患者の宿泊療養に向けての調整に時間を要した。(令和2年10月)」とあります。
兵庫県では現在「65歳未満の無症状または軽症者等で自宅において感染対策が行える者」については自宅療養が選択できることから、症状、環境によっては慣れ親しんだ自宅での療養を選択されるケースは少なくないのでしょう。
宿泊療養施設の利用の積極的な活用を要請
家庭内感染のリスクを抑制する点からも厚生労働省は積極的な宿泊療養施設の利用の積極的な活用を要請しています。
「宿泊療養施設の積極的な利用」が全療養部屋の30%を指すのか、それ以上を目指すものなのか、また新たな動きがあれば追記。
COMMENT
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昨日陽性となり40度近い発熱、私自身が難病持ちであり、家族にも慢性呼吸器疾患および介護を要する高齢者が居るため、宿泊療養を希望したところ、始めは「難病患者
昨日陽性となり40度近い発熱、私自身が難病持ちであり、家族にも慢性呼吸器疾患および介護を要する高齢者が居るため、宿泊療養を希望したところ、始めは「難病患者のため無理」とのことだったので、自律して生活可能だと主治医から連絡を入れてもらうと、今度は「そもそも宿泊療養は県外から来てしまって、家などに居られない方優先。あなたは自宅があるでしょ。」とのことでした。
余りにふざけた言い分体調不良にも関わらず、本当に落胆致しました。
体調等の自己管理もせず、こんな時折に県外旅行してコロナに感染した者が、常より地元に暮らしている住民より手厚い医療を受けられるのは本当に納得いきません。
何より、半笑いで理由を2転3転させた挙句、こちらの事情を全てお伝えし、主治医からも連絡して貰ったにも関わらず、この内容です。
宿泊療養を増やす、推奨している等よく言えたものだと思います。(Android)
地域差あると思うが、宿泊療養希望でしたが、あっけなく断られました。県の支援センターと市の保健所に何回も電話して、同居家族が高齢、本人難病ありと話しても無駄
地域差あると思うが、宿泊療養希望でしたが、あっけなく断られました。県の支援センターと市の保健所に何回も電話して、同居家族が高齢、本人難病ありと話しても無駄でした。利用者増やしたくないだけなんじゃないの?と思います。(Android)