大きな桁数の数字(金額)にはナゼ「,(カンマ、コンマ)」記号がついているのか?
ながらくビジネス上で数字を取り扱っているとカンマを付けることが当たり前になっていますが10月20日に公表された「令和4年分政党交付金の10月分の請求及び交付額」の資料を見て、そんな疑問が沸きました。
総務省「令和4年分政党交付金の10月分の請求及び交付額」
普段なにげに買い物などをしていると目にする商品の金額表示。
「100円」「500円」「999円」といった1000円未満については変わりませんが、1000円を超えると出てくる「,」記号。
「1,000円」「2,980円」というような表示を見ることも多いでしょう。
この辺りの金額であれば見慣れたもので「3桁=1000円」というのは容易に変換ができますが、こんな疑問を持った方はいませんか?
1,000
1,000,000
1,000,000,000
一つ目が「千」ということはすぐ理解できますが、次が「百万」、その下が「十億」ということが瞬時で分かる方は以外に少ないのかもしれません。
3桁「カンマ」はナゼあるのか?
こういうサイトを運営していると予算だなんだとある程度大きい数字が書かれている資料を見る機会が少なくありません。
兵庫県「令和4年度9月補正予算(緊急対策)案」より
法律で決まっている表示方法
「会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)」の「第三編 計算関係書類 第五十七条」には以下の記載があります。
計算関係書類に係る事項の金額は、一円単位、千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする。
うーん。やっぱわかりにくい。
日常的なやり取りで使用する1万円までの金額の単位は「一」「十」「百」「千」ですが、「万」を超えると以降は4桁毎に変わるのはご存知のとおり。
日本の現在の命数法であれば以下となっています。
日本の現在の命数法
表記 | 読み | 「0」の数 |
一 | いち | 0 |
十 | じゅう | 1 |
百 | ひゃく | 2 |
千 | せん | 3 |
万 | まん | 4 |
億 | おく | 8 |
兆 | ちょう | 12 |
京 | けい | 16 |
垓 | がい | 20 |
𥝱 (秭) | じょ (し) | 24 |
穣 | じょう | 28 |
溝 | こう | 32 |
澗 | かん | 36 |
正 | せい | 40 |
載 | さい | 44 |
極 | ごく | 48 |
恒河沙 | ごうかしゃ | 52 |
阿僧祇 | あそうぎ | 56 |
那由他 | なゆた | 60 |
可思議 | ふかしぎ | 64 |
無量大数 | むりょうたいすう | 68 |
1,0000,0000
福沢諭吉が広めた「3桁 カンマ」
もともとは漢字で計算を行っていた日本。「1234」であれば「千二百三十四」といった具合。
足し算、引き算も漢字ではちょっと困難。
そんな日本に欧米式の会計方法として紹介したのが福沢諭吉による翻訳本「帳合之法(ちょうあいのほう)」。
福沢諭吉「帳合之法. 初編」©国立国会図書館
その中で福沢諭吉は表記ルールとして「多くの数字が重なるときは三文字毎に「、」の点を打って百と千と十万と百万との位を分ける」と記しました。
福沢諭吉「帳合之法. 初編」©国立国会図書館
先生~
欧米式の会計の表記方法が取り入れられた際に「3桁」カンマも取り入れられ「そうするもの」ということで広まっていった模様。
欧米では数字の単位として
- 1,000(thousand サウザンド)
- 1,000,000(million ミリオン)
- 1,000,000,000(billion ビリオン)
- 1,000,000,000,000(trillion トリリオン)」
といった具合に3桁ごとに呼び方が変わります。
ちなみに one thousand は日本では「千」ですが、one million は「百万」、one billion は「十億」、one billion は「一兆」。
欧米式であれば「100,000,000」はハンドレッドミリオン(100個のミリオン)ですが日本だと「百百万」?
いやいやー、一億でしょ。
「3桁ごとにカンマを打つ」、「千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする」とはいえ、慣れるしかないものか。
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