緊急事態宣言下の兵庫県ですがコロナ陽性者数は1月20日前後をピークに減少傾向。
新規陽性者の減少は緊急事態宣言解除にもつながるため嬉しい話題でもありますが、なぜ減っているのかを考えてみるページ。
兵庫県では曜日によって検査機関の稼働状況もあって定期的に陽性率が下がるのですが兵庫県では公表データによると以下となっています。
折れ線グラフが各日の検査数に対しての陽性者数(=陽性率)を表していますが2月15日現在、右肩下がりと陽性率の低下が認められることが確認できるでしょう。
曜日によってバラつきがあるので1週間平均で表したグラフが以下。(2020/12/01~)
きれいに右肩下がり。なお、グラフ上の赤い縦線は兵庫県で緊急事態宣言が発令された1月14日を表していますが以降、新規陽性者率は減少方向となります。
グラフからのデータを見る限り「緊急事態宣言の効果絶大」となるのですが、兵庫県ではどのような緊急事態措置が行われているのでしょうか。
兵庫県での緊急事態宣言下の要請や取組み
緊急事態措置
期間 | 令和3年1月14日(木)(0時)から(※) 令和3年3月7日(日)(24時)までです。 ※兵庫県が緊急事態措置実施区域に追加された日の翌日 |
対象区域 | 兵庫県全域 |
外出自粛 | 生活に必要な場合(※)を除き、外出の自粛を要請するもので、特に20時以降の徹底した不要不急の外出自粛を強く要請するものです。 特措法(第24条9項)に基づく要請です。 ※医療機関への通院、食料・医薬品・生活必需品の買い出し、必要な出勤・通学、自宅近隣における屋外での運動や散歩など |
営業時間短縮 | 飲食店、喫茶店や遊興施設(バー、カラオケボックス等で、食品衛生法の飲食店営業許可を受けている店舗)等については、特措法(第24条9項)に基づく要請です。それ以外の施設については、特措法によらない働きかけ(協力依頼) |
イベントの時短協力 |
というような内容の緊急事態措置が取られていますが、減少している結果は事実。
これを踏まえると「20時以降に外出して飲食店、喫茶店や遊興施設に行く」と新型コロナ感染が増えていた、ということになります。
感染リスクの高まる接触機会を減らすという目的のもと、マスクを一時的にも外す必要がある飲食店等の営業時短を促すための20時以降外出自粛、20時までの営業であって19時59分59秒までなら感染しにくい、というわけではないでしょう。
日中でも食事はしますし、緊急事態宣言がなくともこの一年で手洗いにマスク、消毒への意識は国内で上昇しているはず。
減少理由を考える
- 緊急事態宣言で自粛を行ったから
- 個人個人の感染症への知識が増えて、感染リスクを減らす行動を取ったから
- なぜか分からないけど減った(自粛していますか)
- 実は減少していない(これはイヤだ)
東京都では医療機関の業務逼迫ひっぱくを受け、都が追跡調査の対象を、リスクの高い人や集団感染の恐れがあるケースに重点化するよう通知したことが話題になったのは1月中旬ごろ。
近郊では姫路市でも全てのコロナ陽性者に実施していた積極的疫学調査を医療機関や高齢者・福祉施設に重点化し、重症化しやすい高齢者やハイリスク群へのコロナ感染拡大抑制に注力する、と発表されたのが1月15日。
「積極的疫学調査」の実施要領が変更
兵庫県が緊急事態宣言エリアに追加される約1週間前の1月8日、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象とした緊急事態宣言が発令。
奇しくも同日の8日に「積極的疫学調査」の実施要領が変更になりました。
国立感染症研究所感染症疫学センターが公表した「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領令和3年1月8日版」では以下明記されています。
従来、クラスター対策は、感染源の推定(後ろ向き調査)及び感染者の濃厚接触者の把握並びに濃厚接触者の適切な管理(行動制限)という、国の感染症対策の中で確立されている接触者調査を中心とされていましたが、新型コロナに至っては若年の年齢層においては特に、無症状や軽症の感染を多く引き起こし、見えにくい感染の伝播が、高齢者などの高リスク群へと移行する可能性がある。
一方で
地域の医療体制を揺るがすほどの規模で発生する、あるいは発生が予期される場合には、強力に地域の社会活動を停止させ、ヒトーヒト感染の経路を絶つ、すなわちSocialdistancingを確実に実施する施策が社会全体で行われることがある。そのような施策を実施している状況下では、感染経路を大きく絶つ対策が行われているため、個々の対応を丁寧に行うクラスター対策は大きな効果を発揮しなくなる場合がある
対象の優先度を考慮し、効果的かつ効率的に積極的疫学調査を行うことが重要
積極的疫学調査の対象
積極的疫学調査の対象となるのは、用語で定義する「患者(確定例)」及び「濃厚接触者」
患者(確定例) | 「新型コロナウイルス感染症の臨床的特徴を有し、かつ、検査により新型コロナウイルス感染症と診断された者」を指す。 |
濃厚接触者 | 「患者(確定例)」(「無症状病原体保有者」を含む。以下同じ。)の感染可能期間において当該患者が入院、宿泊療養又は自宅療養を開始するまでに接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。 ・患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者 ・適切な感染防護なしに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者 ・患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者 ・その他:手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。 |
「調査内容の原則」には
感染が拡大した結果、感染リスクが高まる場面を通じて、実際に地域の多くの場所で感染が発生しているような状況においては、特に後ろ向き調査(感染源の推定のための調査)による感染源推定の重要性は相対的に低下するとし、感染源推定については、流行早期や、患者の発生が増加中にある時期、また、減少中にある時期において実施。
原則として、無症状で経過する濃厚接触者は、初期スクリーニング以後は新型コロナウイルスの検査対象とはならない。
緊急事態宣言と同じくして公表された積極的疫学調査では「感染拡大期」については感染源推定調査の対象期間から外れるものと思われます。
査数の総数が1月8日以降、大きく減ったものではないため、感染源推定調査の代わりに増えた調査があるはずなのですが項目は現時点で不明。
日本国内の減少する新型コロナ感染数と積極的疫学調査要領変更との因果関係はあるのか、緊急事態宣言による感染封じ込めが行われたのかは別の機会に明らかになっていくのでしょう。
兵庫県の検査数と陽性件数
年月日 | 検査件数(合計) | 陽性件数 | 一週間平均の陽性率 |
2021/1/1 | 1131 | 128 | 11.0% |
2021/1/2 | 1286 | 104 | 10.6% |
2021/1/3 | 1170 | 98 | 10.2% |
2021/1/4 | 1964 | 116 | 9.6% |
2021/1/5 | 1664 | 217 | 9.8% |
2021/1/6 | 2435 | 246 | 9.9% |
2021/1/7 | 2914 | 284 | 9.5% |
2021/1/8 | 2233 | 297 | 10.0% |
2021/1/9 | 2121 | 324 | 10.9% |
2021/1/10 | 1606 | 268 | 11.7% |
2021/1/11 | 897 | 154 | 12.9% |
2021/1/12 | 2326 | 160 | 11.9% |
2021/1/13 | 2065 | 285 | 12.5% |
2021/1/14 | 2245 | 292 | 13.2% |
2021/1/15 | 2127 | 276 | 13.1% |
2021/1/16 | 1655 | 263 | 13.1% |
2021/1/17 | 1908 | 288 | 13.0% |
2021/1/18 | 2142 | 148 | 11.8% |
2021/1/19 | 2366 | 216 | 12.2% |
2021/1/20 | 2688 | 296 | 11.8% |
2021/1/21 | 3037 | 236 | 10.8% |
2021/1/22 | 3022 | 283 | 10.3% |
2021/1/23 | 1825 | 225 | 10.0% |
2021/1/24 | 1692 | 178 | 9.4% |
2021/1/25 | 2065 | 80 | 9.1% |
2021/1/26 | 1894 | 153 | 8.9% |
2021/1/27 | 1987 | 211 | 8.8% |
2021/1/28 | 2750 | 231 | 8.9% |
2021/1/29 | 2384 | 161 | 8.5% |
2021/1/30 | 1733 | 137 | 7.9% |
2021/1/31 | 1532 | 111 | 7.6% |
2021/2/1 | 1854 | 60 | 7.5% |
2021/2/2 | 1724 | 134 | 7.5% |
2021/2/3 | 2201 | 120 | 6.7% |
2021/2/4 | 2246 | 111 | 6.1% |
2021/2/5 | 1986 | 96 | 5.8% |
2021/2/6 | 1722 | 91 | 5.5% |
2021/2/7 | 1220 | 53 | 5.1% |
2021/2/8 | 2005 | 33 | 4.9% |
2021/2/9 | 1379 | 67 | 4.5% |
2021/2/10 | 2643 | 93 | 4.1% |
2021/2/11 | 1639 | 52 | 3.9% |
2021/2/12 | 1343 | 38 | 3.6% |
2021/2/13 | 1099 | 56 | 3.5% |
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