姫路市は手柄山中央公園内の一本の桜について、「公益財団法人 日本花の会」により、令和3年5月13日付で新しい園芸品種として認定されたことを公表しました。
発見の由来など地域の自然環境や歴史を物語る手柄地区のシンボルとして、「手柄ザクラ」と命名されました。
葉および葉柄、小花柄に毛があることや成葉裏面が緑色であることなどからカスミザクラそのものと考えられていますが、地区周辺を開発する前はカスミザクラが自生する雑木林であったことなどから、自然状態で突然変異により生じた遺伝的に独立した新しい品種と認定。
手柄ザクラ
品種名 | 手柄ザクラ(テガラザクラ) |
認定日 | 令和3年5月13日(木曜日) |
画像:©姫路市立手柄山温室植物園
経緯
故・室井 綽(ひろし)氏(元、富士竹類植物園長)が手柄山中央公園内で発見した桜で室井氏の著書「姫路の生物・正続」には『フタエカスミザクラ 世界一の珍品』として紹介されており、「1996年3月に花弁数が10枚で二重咲となったカスミザクラ系の桜を発見。周辺の桜を調べたが二重咲の桜はその一本きりであった。その後、所在が不明だったが、1999年3月に再発見できた。この木は世界中でも唯一本の珍木であろう。市民の協力を得て永久に保存したい」と記されています。(姫路市より)
2015年4月頃に手柄山温室植物園職員が公園内を探索して改めて原木を発見。
2020年6月現在、樹高は約7メートル、地際の幹周は95センチメートル、地表面より約1.2メートル付近で幹周56センチメートルと58センチメートルの二幹に分岐しています。桜の樹齢は60年生から70年生と推定されています。
特徴
カスミザクラが半八重咲きとなった既存品種としてはハンヤエカスミザクラ(Cerasus leveilleana f.semiplena)が報告されていますが、「手柄ザクラ」は旗弁でなく花弁数が7枚から14枚と多いこと、花弁先端の切込みが少ない、雌ずいが雄ずいより長いことなどの点で区別されます。
ソメイヨシノの開花後に、新緑の中で花を咲かせる遅咲きの桜として、桜の観賞期間の延長を図る素材として優れており、手柄地区連合自治会が‘手柄ザクラ’と命名し、地域の自然環境や歴史を物語るシンボルに位置づけることで、小中学校の理科の教材としての活用も期待されています。
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