傾聴AIアルゴリズムを開発する株式会社ZIAIは、兵庫県姫路市と連携し、重層的支援体制整備事業の一環として生成AI技術を活用した「福祉つながる相談窓口」を令和7年12月1日から本格運用します。

令和6年10月から12月にかけて実施した実証実験では、2カ月間で521件の相談が寄せられ、利用者の過半数が10~30代と、従来の窓口では接点を持てなかった若年層へのアクセス拡大が確認されました。
重層的支援体制整備事業について
重層的支援体制整備事業は、令和3年4月に施行された社会福祉法の改正により創設された制度です。8050問題やダブルケア、ひきこもりなど、個人や世帯が抱える複雑化・複合化した支援ニーズに対応するため、介護・障害・子育て・生活困窮といった分野別の支援体制を超えて、包括的な支援体制を構築することを目的としています。
属性や世代を問わない相談支援、多機関協働による支援、アウトリーチ等を通じた継続的支援などが求められている中、姫路市でも令和4年度から同事業を開始し、「福祉つながる窓口」を中核機関として位置づけ、ひきこもり相談と福祉の総合相談を一体的に実施してきました。
全国的な課題
厚生労働省の調査では、複合的な課題を抱える世帯が増加する一方、相談窓口が分野ごとに分かれているため「どこに相談すればよいかわからない」という声が多く寄せられています。
また、相談内容の複雑化・多様化により、限られた職員数で対応する自治体の体制強化が全国的な課題となっています。
姫路市における現状
姫路市が実施したアンケート調査では、市民の約3割が「問題を抱えているが、どこにも相談できていない」と回答。既存の「福祉つながる窓口」には40代以上の相談が中心で、若年層や時間外の相談ニーズに十分対応できていない実態が明らかになりました。
重層的支援体制整備事業では、支援が届いていない人への「アウトリーチ等を通じた継続的支援」が重要な要素とされており、姫路市はSNS相談や匿名性を保持した相談体制の拡充を検討。その一環として、デジタル技術を活用した相談窓口の可能性を探るため、令和6年10月17日から12月17日まで実証実験を実施しました。
実証結果
実証期間中に行われた傾聴AIと住民との対話時間は計192時間にのぼり、最終的なユーザー満足度は70%、リピート率は24%を記録しました。特に、利用者の過半数が10〜30代の若い方々であり、「福祉つながる窓口」に相談を寄せる住民の大半が40代以上であったことを考えると、これまで接点を持てていなかった住民にもリーチできました。
職員の負担を軽減しながら、より多くの市民が気軽に相談できる環境を整え、人だからこそできる伴走支援をより強化するなど、デジタル化による住民サポートの最適解を模索してきた結果、今回の導入に至りました。
概要
今回の取り組みは、重層的支援体制整備事業における以下の機能を強化するものです。
- 包括的相談支援事業: 属性や世代を問わない相談の受け止め
- アウトリーチ等を通じた継続的支援事業: 支援が届いていない人への積極的なアプローチ
- 多機関協働事業: 適切な支援機関へのつなぎと連携
期間
令和7年12月4日(木)開始
対象
姫路市民(年齢・国籍不問)
特徴
- 24時間365日対応
深夜・早朝・休日を問わず、いつでも相談可能。「今、話を聞いてほしい」というニーズに即座に対応します。 - 専門家監修による傾聴設計
臨床心理士・言語学者等の専門家が監修。共感的な傾聴を重視した対話設計により、相談者に寄り添った応答を実現します。 - 人へのスムーズな連携機能
相談内容に応じて、適切な相談窓口や支援制度を案内します。
生成AIによる相談窓口は、既存の「福祉つながる窓口」や各専門機関と連携し、重層的支援体制の入り口機能を強化します。AIが一次対応を行い、相談内容に応じて適切な人的支援につなぐことで、職員はより複雑な相談や伴走型支援に注力できる体制を構築します。
今後の展開
姫路市は今後、相談データの分析を通じて市民の潜在的なニーズや地域課題を可視化し、重層的支援体制整備事業の更なる充実を図ります。






























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