日本の文化を象徴する国石「ヒスイ」から、まったく新しい種類の鉱物が発見されました。
この新鉱物は、日本神話に登場する、天照大神(アマテラスオオミカミ)にちなんで「アマテラス石(学名:Amaterasuite)」と名付けられ、国際鉱物学連合によって正式に承認されました。
ヒスイから見つかった、輝く新種の鉱物
今回の発見は、東京大学や京都大学をはじめとする研究チームによって成し遂げられました。
これまでの研究で、ヒスイの中に含まれる珍しい鉱物に着目した結果、岡山県大佐山地域で採取されたヒスイから、まだ知られていない複数の鉱物が見つかったのです。その中の一つが、このたび新鉱物として認められた「アマテラス石」です。
「アマテラス石」ってどんな石?
アマテラス石は、ストロンチウムやチタンなどからなる、これまでにない独自の化学組成と結晶構造を持っています。
この発見は、ヒスイがどのようにしてできたのか、その謎を解き明かす新しいヒントになるかもしれません。
さらに驚くべきことに、アマテラス石の結晶構造には、まるでコインの表と裏のように、異なる2つのタイプが同時に含まれていることがわかりました。
これは理論的には予測されていたものの、実際に発見されたのは今回が初めて。この「二面性」を持つユニークな特徴が、今回の名前の由来にもなっています。
国石「ヒスイ」と「アマテラス」
新鉱物の名前を考えるにあたり、日本の国石であるヒスイから見つかったこと、そして結晶構造の「二面性」という特徴が考慮されました。
日本の象徴であるヒスイと、日本を象徴する存在である天照大神が重なり、さらに天照大神が持つ「荒魂(あらみたま)」と「和魂(にぎみたま)」という二つの側面が、鉱物の持つ二面性と通じると考えられ、「アマテラス石」と命名されました。
今回の発見は、鉱物学的な価値はもちろん、ヒスイの成り立ちに対する新しい視点を与え、私たちの身近な石への興味をさらに深めてくれるでしょう。
論文情報
| 雑誌名 | Journal of Mineralogical and Petrological Sciences |
| 題名 | Amaterasuite, Sr4Ti6Si4O23(OH)Cl, a new mineral from jadeitite, a representative stone of Japan |
| 著者名 | Daisuke Nishio-Hamane*, Mariko Nagashima, Yuki Mori, Masayuki Ohnishi, Norimasa Shimobayashi, Takashi Matsumoto, Mitsuo Tanabe (* : 責任著者) |
| DOI | 10.2465/jmps.250420 |




































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